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バクダット・カフェ<ニュー・ディレクターズ・カット版> [映画]

My best movie.
今になってスクリーンで観ることができるなんて思いもしなかった。
なんて幸せなんだろう。

今回のは監督が再編集再調整してちょっと長くなって登場している。
前回との違いは思い出せないけれど、いいのいいの。

フレームもいい、色もいい、音もいい、曲は最高、キャストがいい、ストーリーがいい。
いったい何拍子なんだってくらい揃っている。
しかも、ぐっと涙してしまうんだ。感動のね。

あまりに、感極まって、感想記録にもならないから
この機会にもう一度観てこようと思う。
そうしたら少し冷静なれるかもしれないわ~。

渋谷ユーロスペースでまだやってます。
お時間ある方は是非に。。。

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パーシー・アドロン 監督 
西ドイツ 1987年

http://info.movies.yahoo.co.jp/detail/tymv/id17898/
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戦場でワルツを [映画]

おくりびとと争った作品というのは後で知ったのだが、
もっくんは、これが受賞すべき作品だったのではというような評価をしていた。
アニメーションによる、イスラエルのレバノン侵略というか虐殺の場にいた監督の記憶をたどるストーリー。

(ネタばれ)
←自分は何を根拠にこれを出すときと出さないときがあるのかよく線引きが出来ていないかもしれない。

ストーリーについては、この事実を知っていたためなんら驚くことはなかった。
よってその心の衝撃度はなく、自分がこの映画に対して監督の心情について焦点が絞られていったように思う。
(このような事実をはじめて知ったときには、しばらくの間体が震えて言葉にならなかったことを覚えている。)
それに、アニメーションという点についても自分と映画との距離を少しとることができたようにも思う。

日本人の戦争体験者の話を聞くことがあるが、大抵の方がいまだに悩まれている。
生き残ってしまった為に、人生から「遊び」を全く取り除いてしまった方でさえいる。
又、一度死んだ人生といって、社会や文化に貢献してなくなった方もいる。
戦争を体験された方の気持ちは、簡単にはわかったようなことは言えないし、
自分が想像することは不可能だ。

この監督は、生きるために記憶を消したはずなのに、それを知ることを挑み知人友人から話を聞き一つの映画にしたのだからその強い意志は、尊敬する。
ただいかんせん、この戦争というものがいまだに続いていることが、憎くてたまらないのだ。

(ちょっと作品に戻ります。)
人の記憶とはあいまいなものであるから、それを事実として表現するとこんな映画の構成になるんだろうな。
フラッシュバックのように繰り返される映像だったり、歴史の時間軸で構成されているのかも詳細はわからないけれど、
監督自身の時間軸の事実そのままつなげるとこんな構成になるんだろう。
それは作品として、理解させたいというよりはドキュメンタリーの事実をそのまま取りっぱなしで提示した感覚に近いかもしれない。
それでいても、観客に通じるということを監督はわかってやっている。

最後に、実写映像をしようして終わるのだが、そのバックで流れる低い音、私は自分の鼓動とリンクしているような
感覚に堕ち、しばらく席から動けず、涙が出てきた。
要するに、映画と距離を置いて、監督主観の過去を見ていたはずなのに、目の前にリアルな実写が流れると
いやおう無く自分との距離が縮まり一瞬にして谷底に突き落とされる感覚に近い。

ひどく、人肌恋しくなった。



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アリ・フォルマン監督 2008年
イスラエル/フランス/ドイツ/アメリカ

http://info.movies.yahoo.co.jp/detail/tymv/id333030/
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2/デュオ(DVD) [映画]

勝手にしやがれとセットで家にやってきた。
どれだけ待たせたか。
2本連続で観た。
なんとなくどこかが似ている。
諏訪監督が、ヌーベル・ヴァーグを沢山観ているからなのか?
それとも(聞いた話に寄ると)どちらも即興でやったからなのか?よくわからないけど、似てる。

どんな内容かは知っていたけど、、、。
こんなに緊張する映画は無かったかも。
2人のやり取り、特に喧嘩のシーンは生々しいのだ。
洗濯物を初めはやさしさから取り込んでいたけど最後には相手に投げつけるシーンは半端ない。
片付けしようと言ってはどんどん部屋のものを散らかし始める圭(西島)に
マジで悪意を感じる。

 私がやられたらどうするんだろう?

そんな風に考えさせられるシーンの連続なのだ。
ゆう(柳愛里)は自分に成り代わってる。

怖い、この映画はひどく怖い。
演技だとわかっているけど、この展開はよくある日常の男女の会話とまるで代わりが無いのだ。
台詞台詞していないのだ。
台詞を言おうという気合みたいなものが一切感じない。
もっと言えば、会話のタイミングが計られたものでない。
自然なのだ。

なぜかと言えば、これには大筋の流れはあるけれど、台詞は全く無い。
役者が勝手に話しているのだ。
だから、観ているこっちもなんなのかわからなくなってくる。
途中諏訪さんによる圭とゆうへのインタビューが入ったりするんだ。
勝手にしやがれでも言ったけど、短い黒味が入ってきてここからホント、ここから演技だよって
言われているような気にもさせるけど、実際どっちがどうなのかも見ているほうがわからないいたずらされているようだった。

演技なんだろうけど、台詞がないから役者の自分という「素」もでてくるに違いないでしょ?
それがドキュメンタリーというフィクション。
それともフィクションというドキュメンタリー。

諏訪さんはすごいや。
学校時代の講師だったんだけどね。
毎回いろんなことに挑戦しているし、一発目の長編でこんなの作っちゃうんだから。
どれ観ても、諏訪さんの作品は私はど真ん中だな。
今度、フランスで撮った「ユキとニナ」っていう映画もやるんだけど、めちゃ楽しみだ。

田村正毅さんのカメラワークもふわふわしていてとてもおもしろい。
固定なんだろうけど(違うのか?)本能撮影だよな。
台詞ないから、前打ち合わせもないだろうし、ドキュメンタリー追いしているところが
又いい。

ところで、諏訪さんって尊敬している人であるんだけど
講義でも永遠と飲み会でも永遠と映画の話に包まれた環境は私にとっては心地よいのだよ。


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諏訪敦彦監督
1996年 日本

http://movie.goo.ne.jp/movies/PMVWKPD29773/
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勝手にしやがれ(DVD) [映画]

なぜ、このタイトルなんだろう?
なぞだ。

なかなか作品に入り込めなかった。
私のフランス映画史の無知さが原因なのかも。
きっとヌーヴェルバーグと言われる作品をもっと見る事で理解できるのかもしれないなー。

終わった後に思ったのが、
「男って愛すべき生物だな。」ってことだった。
最終的には、惚れた女の為に人生を選ぶ。
その点女はいつのときでも現実的。
頭で物事を考える、
石橋を叩いて渡る、
どこが好き?とくだらない質問を並べる。
コレばっかりは生物学的に永遠のものなんだろうなって妙に納得した映画だったのだ。
(こんなことを言わない女性の皆様ごめんなさい。私に身に覚えがあるのです。)

ジーン•セバーグの美しさが絶対的。
短髪にしちゃおう!って思っちゃうくらいショートが似合う女優さんね。
若くして亡くなったようだけど。
英語とフランス語で話す会話が新鮮でおもしろかったな。
カットのつなぎをわざと繰り返すような?なんという手法なのかわからないけど、意味がありそう。
私にはその意味が理解できなかった。

スタイリッシュな展開だし、衣装がほんと素敵。
パリジャンのセンスの良さがわかったな。
最近流行ってた七分袖の袖が広いタイプってこの時のものなんだね。

もうちょっとゴダール監督の画画を観てみてみないと話にならないかもな。

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1959年 フランス
ジャン=リュック・ゴダール監督

http://info.movies.yahoo.co.jp/detail/tymv/id4584/



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パリ・オペラ座のすべて [映画]

ぎりぎりセーフの滑り込み。
今週までの上映だったので、なんとか時間をつくって観にいってきた。

BUNKAMURAで上映されるあたり、さすがだなーと思う。
プロデューサーが上手いのだろうね。
それにオペラ座とタイアップでの映画だと思う。
どうしてかというと、いつもの彼の作品よりも細かく説明がされているからだ。
通常はもっと説明がない。
彼の作品の中にNYのバレエ団の話「BALLET アメリカン・バレエ・シアターの世
界」1995が
あるのだけれどこれよりも断然説明されている。

始まって30分してすぐにいびきが聞こえてきた。
年配のご夫婦の奥様の方が、口を開けて気絶されていた。
一生懸命起こす旦那様。
先が長いんですけど、大丈夫かしらね?

結構このタイプの映画は好き嫌いがはっきりしてしまう。
わかりにくい、何が言いたいのかわからない。などと思われる方が多いはず。
館内に貼られた監督の雑誌インタビュー記事を読んだ。
「昨今のアメリカ映画は説明が多すぎる。私は観客を馬鹿にしたくない。
メッセージを伝えるなら手紙を書く。情報を伝えたいのだ。」というようなコトが書
かれていた。
以前フランス映画祭の時にフランス人の司会者が短編映画を紹介するときに、
「観客を馬鹿にした作品ではない」と言われていた。
妙にこの言葉がはっきりと耳の残っている。


ゲネプロなのかな、終わりに近づくと通しの映像を舞台裏から見れるんだけど、
観ている最中に手をたたきたくなるくらい興奮した。
バレエダンサーのすばらしさに体中鳥肌が立ち、熱くなってしまった。
男女共に美しい体の曲線。
学生の頃は男の人のバレエダンサーを見るとちょっと恥ずかしい気持ちになったりし
たけど、
いやいや歳をとったからでしょうか、美しいと感じるようになっていた。
そして更にこれは人間の体ではない創造上の生物なのかもしれないというようなとこ
ろまで考えが
昇天してた。
私、飛び上がったときに足をパタパタやるやつ好きなのよね。かわいいんだもん。

 ブラボー。

前半部分練習シーンで、ダンサーの踊る範囲が思ったより大きくて、思わずカメラマ
ンの三脚ともう一人ダンガリーシャツの方の足元が
鏡越しに見えて、ワイズマンがどんなスタイルで撮影しているのか観れるかも!とわ
くわくだったけど、
結局は上手いカメラワークでカットされていた。
もっとダンサー派手に動いてくれたらよかったのにぃ!(なんて)

振り付けしの笑ってしまうやり取りがあったりして、私はこの3時間の映画を昼間は
眠かったくせに
最終の回を観たにも関わらず最後まで夢中で見てしまった。あっという間の時間だっ
た。

終わりのシーンを掃除のシーンで終わらせるのじゃないか?って思っていたのに、ま
んまと裏切られました。


納得がいく映画を観れてまじよかった。



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フレデリック・ワイズマン監督
2009年 フランス

http://info.movies.yahoo.co.jp/detail/tymv/id334371/

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SELF AND OTHERS(DVD) [映画]

私がこの学校を選んだ理由の一つとして佐藤真さんに教えていただきたいということがあげられるだろう。
最初の授業当日にそれが叶わぬ夢になるとは、思いもしなかった。

写真家牛腸茂雄さんのドキュメンタリー。
ただ、その牛腸さんはもうこの世にはいない。
そうなると過去の映像からどのようにしてドキュメンタリーをつくるのだろうか?に興味があった。

観終えて、驚くことにしっかりと私の心に牛腸茂雄さんが刻まれてしまった。
誰一人としてインタビュー映像もなく、見知らぬ街の、日常の風景が何度となく続く。
そして彼の作品が一定の間隔で流されるのだ。
これは牛腸さんが撮影した場所、もしくはゆかりのある場所を中心に追っているんだなと途中から気づかされる。

彼の作品は、ほとんどがポートレートで、それがちょっとぞっとするのだ。
(ごめんなさい牛腸さんそれに被写体の方にも)
あちらから見つめられているような、見ている側が試されているようなそんな感覚にさせられる。
写真に写された人から強い意志を持ってこちらを見ているような気がする。
映画の中で唯一その表紙になった双子の女の子のインタビューが声だけでてくるのだが、
「あまりこの写真すきじゃない」とかなんとか言っていたような気がする。


そして、この映画は、彼牛腸さんの作品そのものを表現したかったのだろうと私は行き着いた。
表現者として、本人に会うよりもその表現したものから本人をより理解できることが多々あると思う。
(理解できるといっても、その本人のある一部ではあるけれど)
よって、この映画は、牛腸さんの作品を見せることで牛腸さんがどのような方なのかが理解できるし、
又、この映画を作った佐藤さんがどのような方なのかが理解できるという2重構造になっているのだ。


そして突然ナレーション(今をときめく西島秀俊さん)とは違った声、テープレコーダーから聞こえてくる肉声が
挿入されるのだが、ちょっと気味悪いのだ。

 いる。いたんだ。

映画に没頭する中で、被写体の牛腸さんがすでに2次元の世界に形をかえて私の中に入ってきていた矢先に
この声を聞くと、牛腸さんが、まだいるんだ、本当にいたんだ。とぎょっとするのだ。



自分が観終わってから佐藤さんのテキストを読む。
佐藤さんの阿賀を生きると牛腸さんの写真と似ているという映画評論があった。と書かれていた。

トーチカでもそうだが、2人には接点があるのだ。
そして2人から以外の+アルファで、相乗効果の結果にでてくるなにがしのメッセージを
受け取った気がしてならないのだ。

そして、ドキュメンタリーは特にカメラマンと監督の関係が重要だということも再認識させてもらえた。

表現は無限。

こうやってこれからも佐藤さんから学ぶことはあるんだな。。。


2人に対して、ご冥福をお祈りしたい。



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佐藤真監督
2000年 日本

http://www.cine.co.jp/works1/selfandothers/
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TOCHKA(トーチカ) [映画]

前売りを買っていた。
最終日だったので急いで、しかもいったん家に帰って身軽になってからレイトショーに向かった。
思いのほか立ち見もでていた。

ものすごい憂鬱な風と波の音がずーっと続く。
根室最東端トーチカが点在する海近くがロケ地だ。
画的にすごく惹かれる。だから観にいきたくなったんだけどね。
カットも長く、構図も好きだ。かなり勝負している感じ。
好きな展開。

台詞も一方的な、相手がいるけど語りあっているようで、
お互い自分自身に話しかけているような感じ。

(なんども言うが)
勝負している。
すごく勝負している。
ストーリーの展開は、男が語りだした中盤から大体わかる。
ただ、わかった上で、それだけでない画から音から伝わるメッセージが非常に重たくて、
その場に居るのがつらい。
何で観に来ちゃたんだろうと思った。(重たいという意味で憂鬱にさせられるのだ。)

さっき、監督のテキストを読んだ。
トーチカと監督には接点がある。
だからここまで様々なことをそぎ落として平気で居られるんだな。
これって、トーチカが主人公だから、私は好きなのかも。
少なからず、ロケ地と作り手の関係に何か縁があることで、ミラクルを起こすことができると思う。
相思相愛というのか、違う力が加わっているというか。

映画って、みんなで作るもんだね。
なぜか勇気をもらった気がした。

他の作品も観てみたい。






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松村浩行 監督
2008年 日本

http://info.movies.yahoo.co.jp/detail/tymv/id334616/

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コッポラの胡蝶の夢(DVD) [映画]

観終わった後、スウィニー・トッド・フリート街の悪魔の散髪屋を思い出した。
美術が似ている気がする。
最近ハリウッド映画観ていなかったからかな?

死に対する東洋と西洋の違い。
輪廻転生について説明された事実を、「私は気が狂った」と不安に思うシーンがあった。
何気なくキリスト教と仏教の考え方の違いはここで表現されている。
そうか、キリストは生まれ変わってこれないんだ!
私にはとても印象的だった。


時間経過。
雷を受けて、ドミニクは若返った。そして愛する彼女は霊媒体験をするごとに老いていく。
時間が2人を反対に進むことが一つのポイントといえるのだろう。

結局はティム・ロス演じるドミニクが離れていくことで彼女を霊媒体質から解放することが
できるのだが、このシーンはこの映画には必要がないかな?という気がした。
なんとなくこのストーリーはテーマを明確にしているようでしていないようなところが重要であり
ここで彼の人間性を出す必要はこの作品にはなかったんじゃないかな?とも思えていらないなーと思った。

タイトルは、英語だとyouth without youthで、こっちの方がシックリくる。うん。

荘子をテーマにしたこの映画をフランス人が演出したらどんな風になるのかなー?
と何気に思ったりした。

ヴェロニカ役のアレクサンドラ・マリア・ララは、最高にかわいい人だ。ララって音もかわいい。


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フランシス・F・コッポラ監督
2007 アメリカ/ドイツ/イタリア/フランス/ルーマニア

http://info.movies.yahoo.co.jp/userreview/tymv/id330771/

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誰も知らない(DVD) [映画]

やっと観ました。
是枝監督の作品、そしてこの作品にようやく到達しました。

この作品の題材となった事件も覚えがあって、興味があったのだ。
どこまで演出して、どこで落とすか。

ゴンチチの音楽とYouと子供たちのキャスティングが見事だったなぁ。
記者会見覚えているけど、この内容とは全く違った楽しい雰囲気がかもし出ていたものね。
Youは子供たちとの会話の中でアドリブが結構あったんじゃないかな?って
思わせるシーンが何度かあったな。
フィクションの中のお母さんはなんとも憎めないんだな。まあYouがやったってこと
も大いにあるんだろう。

マニキュアの取れ具合での時間経過。
生ごみの臭いから想像する腐敗した家の中。
手、足だけのアップ。
種をみんなで集めている時の、「かわいそうだもんね。」というゆきちゃんの何気ない一言。
当たり前と思っていた社会常識がない世界の常識。
子供が故に、無邪気に遊ぶ笑顔。
その反面大人から乾いた言葉をぶつけられる長男。
しげが生で食べる緑のたぬきの揚げや、ゆきちゃんがたべるアポロ、
京子ちゃんのお母さんが帰ってくると信じている言動、
明の野球シーン。

最後は、「誰も知らない」けど、みんなでいつものように生きていくんだと元に戻る
感じが、確かに、現実の悲惨さを知っているだけにゴンチチ効果もあいまって限界かもしれないね。

これ全部、是枝さんの演出なわけで、すごいと思ったし、
以外と子供って頭を使って生きていくんだなとも思ったし、
終わった後、実話を調べたんだけど、発覚後、おかあさんが名乗り揚げるんだから、
まったく捨てる気じゃなかったという無頓着さ加減に開いた口がふさがらない。
もっと悲惨だったんだね。

言葉にならないよ。

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是枝裕和監督
2004年 日本

http://info.movies.yahoo.co.jp/detail/tymv/id320084/

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雨月物語(DVD) [映画]

こんな日は雨月物語でしょう。
なんて、週末ちょうど観るにはよい時期に来たので、しっとりと。

観終わった後にすぐの感想が、男はどうしてこうなんだ?というのが率直な感想だった。
女として観てる自分にも「はっ」と気づかされるんだけどね。
戦国時代を背景にしているが故に、男社会であり乱暴傲慢弱いものいじめといった時代に
どうも私は違和感を感じざるを得ないのが正直なところなのです。

溝口さんの2作品目とあって、撮影ワークなんかも意識して観たりする中で、
カメラがくるりと一周する中で場面転換やふわりと滑らかに移動するパーンがあるのは、とってもおもしろいぞ。
それにこの内容を更に2009年の現代人でやったらどんな展開になるんだろうか?ちょっとおもしろいかも。
現代風雨月物語。

そして一晩経ってから実はじわりじわりちがう感情がふつふつと2段方式でやってきた。

田中絹代が言うのだ「私は共稼ぎで普通の生活が出来たらそれだけでいいのだ」と。
1953年制作。時代設定は戦国時代。
溝口健二監督は、意図してこのせりふを入れたのかな?それとも脚本にあったのかな?
わからないけど、今も変わらない不変的な言葉にドキッとした台詞だった。
共稼ぎって言葉、良く考えれば53年といえば、経済でも活気が出ているときだから、前者かもね。
女の人っていつの時代でもそう考えている人がいるってことだよね。
この時代からすでにだんな様にゆだねていなかったんだなー。。。

かたや、男はどうだろうか?
男たちは、何かの力にすーっと導かれるように、現状の生活を忘れ、それぞれの道(野望、誘い)へ流れていく。
侍になりたいといって嫁を置き去りにした夫、なんの意識もなく別の女に導かれて優雅な生活をしている夫。
そして、それぞれが現実に戻ったときには、それなりの代償が待っている。
代償というのは自分の妻がある意味悲惨な目にあっているということなのだが、

そうか!これは男とか女とかの視点で見せておきながら、
そこを超越して深ーい人間の深層心理が見え隠れする作品なんだなと行き着いたのだ。

人間の弱い部分、強い部分、生き様を4人の登場人物からすごく読み取れるんだ。
ストーリーの中で人生の選択肢がいくつかあるんだけれど、それによってそれぞれの人生がどんどん変わっていく。
実際のところ、今の時代でここまでの差が出てくることは少ないだろうけど、
一番印象深かったのは、やっぱり生きて居ればこそ、又やり直せる。ってことだったな。
過酷な運命でも負けないで強く生き抜いたあの妻は、ある意味見習いたいくらいだ。
殺されてしまったのは仕方ないけどね。


結局は帰るべきところは、妻のところであって、
ということになるわけで、亡くなった南田洋子さんも長門裕之さんの浮気後もそんなインタビューされてたけど、
女は港で男は船か。。。

カエルは、どっちかというと船がいいなと望んでる移動式港かも。笑

話はそれたが、溝さんのもう一本観ないわけにはいかなくなりそうだ。

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溝口健二監督
1953年 日本

http://info.movies.yahoo.co.jp/detail/tymv/id86299/

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