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牛の鈴音 [映画]

リーフレット見たとたん、これは行かないと!思っていたら、
友人から、この評判いいらしいよと言われて早速行って来ました。
初日に行くなんて超久しぶりかも。あ、ひょっとして初めてかも?
(ぶんじんさんもご存知でしたね~。)

(ネタばればれ。書きたいことだらけ)
牛とおじいちゃんの物語です。
機械化が進む中おじいちゃんはかたくなに牛で田畑を耕し続ける。
それをみておばあちゃんは文句を言い続ける。
牛は、寿命15年なのにその牛は30年もおじいちゃんと生きている。

これとリーフレットの感じで、たぶんこの牛は死んでいくんだなってわかったんですが、
それで感動させるのか?どうか、そこが気になっていました。

ところが、そうじゃない。
牛は死ぬんだけど、そこじゃない。
なんとも言えない二人(牛とおじいちゃん)のツーショットに涙溢れちゃうのです。
共に30年生きてきた2人の姿だけで感動しちゃうんです。
危うく声出しそうになってしまいました。(笑)自分でも驚きでした。何でこんなに心が熱くなるんだって。

車がバンバン通る大通りを病院まで牛車に乗っていくシーンなんてホント参っちゃう。
それも、人が歩くより遅いスピードで進むのですからね。
ちなみにおじいちゃんは足が悪いので牛車を使わないと長い距離歩けない。
おじいちゃんの話だと、おじいちゃんが後ろで寝ていても牛が家につれて帰ってきてくれたって街の人に自慢していました。
2人は信用し合ってます。
実の子供よりも役に立つって街の人から言われて、にこにこしているおじいちゃんが印象的でしたね。
牛の餌に至っては、作物が虫に食われるよりも牛に害のあるものを食べさせたらならないってことで
農薬を使わないんですよ。

でも最終的には老夫婦だけに牛の面倒をみるのが大変で牛を売りにいくです。
でも、おじいちゃんは決して安値じゃ売らない。
この時に思ったのは、おじいちゃんと牛の関係は、私が今観て感じているものとは全く違う質のものなんだってことに気づきました。
共に生きてきた愛情深いいとおしい存在であると同時に、生活としても牛が不可欠であるものなのだ、というところです。
そこが又よかったんです。
ここで、まさか売りに行く!なんて薄情な!等とならないところが、
人間の営みというか、昔の子供を里親に出してしまうような心境というか。
やるせなさ、それが現実というか。
結果、老牛は売れないんです。売らないんです。


画に力があるんだな。
ドキュメンタリーで人を追っているんだけど、フレームがいいんだよね。
鈴音も効果的に使っているし。

なんでこんなに感動するんだろうか?

そこには、おばあちゃんの毎日小言をいう部分が非常に効果的に使われているように思う。
おじいちゃんは基本的には耳が遠いこともあるけど寡黙な人で滅多にしゃべらない。
だから、おばあちゃんがずーっと一人で怒鳴っている。
それとは対照的に牛とおじいちゃんが静かに寄り添って共に働いている姿が映し出される。

かといって、おばあちゃんは悪者かといえば、そうでもなくて、おばあちゃんだって牛がかわいいし、
おじいちゃんを心配するが故に又頼っている一面もある。
だから、頑固なおじいちゃんの周りで牛とおばあちゃんが振り回させていてるんだけど、
消して逃げたりしないで、むしろ従順に助けながら生きている。
だからやっぱりおじいちゃんが主人公で、それを取り巻く牛とおばあちゃんが効果的に
編集されているのがわかりやすいんだろうね。
それにおばあちゃんの心の変化と牛の死への時間軸がしっかりあるので、ぶれたりしないんだよ。

前日のコープロデューサーの話で、
監督は編集に行きづまっておりプロデューサーの元へ訪れたらしいです。
それまでは、自分が撮っていた素材で面白みを感じていなかったそうだけど、
コープロデューサーとの話し合い?指示?でここまで仕上がったそうです。
監督自体も、面白くなってきたと言っていたと。。。
コープロデューサーはこの作品を借金して買って(買うことになってしまって)
ここまでにしたんだからすごい目を持った人だよね。
家庭のお金には手をつけない、という信念があったんだけどそれを破って
奥さんに内緒だけど、住宅保険を担保に借金したって言ってました。
おかしい人だ。

フィクションのようにちょっと演出した編集(おばあちゃんのため息)が若干あるような気がするけど
それがあってさえも、質のよいドキュメンタリーだなって思うな。

シンプルなストーリーなんだけど、画力があるっていうのかな。
沢山の(人としての)記憶をよみがえらせてくれる。。。
牛もおじいちゃんもおばあちゃんも、ちゃんと人柄が見えてくるんですよ。

そこには、もちろん笑いもあるし。
いい時間だったな。

ちなみに韓国では3人に1人が観ているんだって。
大阪でも上映してます!
-----------------------------
イ・チュンニョル監督
2008年 韓国

http://info.movies.yahoo.co.jp/detail/tymv/id334944/
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コメント 11

maki

働き者の牛とおじいちゃん・・・
ダメだ、想像しただけで泣きそうだ。
by maki (2009-12-21 19:05) 

MORIHANA

北海道では、かつて開拓の片腕として、
馬が大切にされていました。
赤ちゃんの頃にヤギの乳で育ったという話も
団塊の世代の人から聞きますよ。

by MORIHANA (2009-12-21 19:37) 

cjlewis

カエルさんの文章読んだだけで、涙があふれてきた。。。
すごく観たいと思ってるんですが、いつ、どうやって観るか、すごく迷ってたりもします。小学生のころ、「もう二度と見ない、読まない」と心に決めた「フランダースの犬」と似た感覚です。
by cjlewis (2009-12-22 11:12) 

FUCKINTOSH66

"お涙頂戴" 的な衒いも全然ないんでしょうねぇ。だから余計に感動する。
by FUCKINTOSH66 (2009-12-22 14:05) 

がぁこ

読んでるだけで観たくなってくる~~~(>v<*)
ってかドキュメントなんだぁ~@@
牛と信頼関係が築けちゃうじいちゃんすごいし。。。
牛の面倒見られなくなってきたの時点で食ってしまうのか!?
って思ったけどよかった(T▽T)
↑こんな風に考えちゃうから畜産は絶対にできない人だなぁ~~( ̄∇ ̄;)

by がぁこ (2009-12-22 18:21) 

Ranger

へぇ~^^ なんとも泣けちゃうけど いいお話だね
凄く見てみたい
韓国の映画なんですか
by Ranger (2009-12-23 10:09) 

macha

うわっ!
これ観たい!!
韓国映画、最近あんまり気に入ったのなかったので、
これはぜひ!!!
by macha (2009-12-24 20:04) 

utsubon

すでに泣きそう。すごく観てみたい。。
ゆっくり訪問ばかりですが、カラダの調子は如何ですか?
by utsubon (2009-12-24 23:43) 

gyaro

韓国の映画っていい作品多いですよね~!
あ、多重露出の写真はピントあわせとピンボケを重ねてます^^
by gyaro (2009-12-25 04:09) 

nekotaro

Merry Christmas !! ヾ(^v^)k
来年もよろしくお願いいたします!!

by nekotaro (2009-12-25 12:10) 

カエル

みなさまへ

この映画は多分ロングランになると思われます。
本当にいい映画でした。
趣味が合って、観る機会があれば是非とも。
泣きに行くとかじゃなくて、現実を知りに行くような感じなんです。

by カエル (2010-01-04 20:04) 

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